4月の読書メーター まとめ

4月の読書メーター
読んだ本の数:10
読んだページ数:2351
ナイス数:235

心の文法―医療実践の社会学心の文法―医療実践の社会学感想
感情や記憶は、個人の能力に還元されやすい。その考え方に基づき医療も行われやすいのだが、一方で医療とは、患者と医療者が向かい合い、互いに感情や記憶を交錯させる場面でもある。著者は、診療場面を丁寧に記述することで、感情や記憶というものを説明しようとするときに寄って立つべきは我々の生活そのものであることを述べようとしている。試みが成功しているかというと微妙で、一分で辿り着ける目的地にわざわざまわり道して向かっている気がしてくる読み心地。ものすごく、読みにくい。しかしそのくらい実はたどり着きにくい目的地なのだな。
読了日:04月26日 著者:前田 泰樹
40歳からの知的生産術 (ちくま新書)40歳からの知的生産術 (ちくま新書)感想
序文でいきなり「こう考えたことはないだろうか。『(指示を待つのは楽だが)どこかでその指示を出す人間がいるはずだ』と。そして将来、『私は指示を出す人間になりたいのだ』と」とくる。いいえ全く無いです。本の冒頭から著者と感覚のズレが生じたため最後までノリきれないまま読んだ。特に後半は四十代向けという必然性がほとんど無い気がする。ただ、時間はそれほど多く無いのだから有効に使えという点が繰り返し強調されているのは、我々のような人生折り返し地点を過ぎた中年向けのアドバイスだなあと。いわれなくても日々実感してるけどね。
読了日:04月21日 著者:谷岡 一郎
在宅・施設リハビリテーションにおける言語聴覚士のための地域言語聴覚療法在宅・施設リハビリテーションにおける言語聴覚士のための地域言語聴覚療法感想
既に病院の外で働いている身としては、なにを今更ということしか書かれていなかった。こういう本は、複数の執筆者で書いたものを纏める形で出すと、とてもつまらないものになってしまうんじゃないかなあ。在宅医療って、治療者の個性もとても大事なので。とはいえ、これから病院の外に出ようかどうしようかと悩んでいる人には参考程度にはなるかも。でも、地域でのリハビリテーションは、もっと人間臭くて、もっとやりがいあるよ。この本だけ読むと、なんかつまんなそうだからやっぱ病院勤務でいいや、っていうことになっちゃいそうで少しだけ心配。
読了日:04月18日 著者:
古文書返却の旅―戦後史学史の一齣 (中公新書)古文書返却の旅―戦後史学史の一齣 (中公新書)感想
1949年、日本常民文化研究所月島分室にて始まった、全国規模の漁業資料館を設立しようとするプロジェクトは、あえなく5年で潰えた。その時各地の漁村から借用した文書は、リンゴ箱に詰め込まれ死蔵される。時が経ち1980年より18年の歳月をかけ、著者は各地へと資料を返却し続けていく。罵詈雑言を浴びせられるのを覚悟で再訪した家で思いがけぬ歓待をうけるうちに、各地の歴史や民俗を著者は再発見していくことになる。分野に関係なく研究倫理の書としても読める。人を対象とした研究に協力して下さった方には誠意を尽くさねばならない。
読了日:04月16日 著者:網野 善彦
レッキング・クルーのいい仕事 (P-Vine Books)レッキング・クルーのいい仕事 (P-Vine Books)感想
60年代から70年代前半までのヒット曲を支えた演奏家集団についての本。錚々たる面々が登場。しかし本書の最初から最後に至るまで乱暴な台詞を吐き散らしながら痛々しい姿を見せ続けるフィル・スペクターの存在感にはシナトラさえも霞んでしまう。レッキング・クルーについては映画もあるけど、ミュージシャン達のインタビューで構成された内容はつまらないものでした。ミュージシャン達だけでは曲は出来ないのですよね。ではなにがスタジオで起きていて、なぜそれは永遠には続かなかったのか。終盤のセッション場面がそれを象徴している。
読了日:04月15日 著者:ケント・ハートマン
「誰にも書けない」アイドル論 (小学館新書 213)「誰にも書けない」アイドル論 (小学館新書 213)感想
二通りの読み方が出来る本。まずは70年代から80年代前半にかけてのアイドルについて書かれた本として。その熱さたるやハンパではない。ではなぜそこまでクリスさんはレコードやプロマイド集めに執着するのか。クリスさんのコレクター魂がうまれた背景にある父親や教師との確執、海外で受けた差別との闘いを描いた自伝としても読める。親に勝手に捨てられたものを全て再び手に入れるための収集。アイドルには全く興味ない私でも十分楽しく読めたのは、そのコレクター魂に共感するところが大きかったからです。コレクションは、ゴミではないのだ。
読了日:04月15日 著者:クリス 松村
5分以内で助けよう! 誤嚥・窒息時のアプローチ (みどりの町のクマ先生 シリーズ)5分以内で助けよう! 誤嚥・窒息時のアプローチ (みどりの町のクマ先生 シリーズ)感想
以前の本をアップデートし、ドクターと新人ナースの対話形式でまとめ直したもの。独習出来るようになってます(といってもテーマが救命ですから実技指導を誰かから受けるのが当然の前提ですが)。井上先生自らの苦い体験を率直に吐露されているのは、とても意味深いことだと思います。対応如何で、救えた命も救えなくなってしまう。それがご本人ご家族のみならず医療者自身にとってもどれほど辛く重いことか。とりあえず高齢者がむせているからといって、むやみに背中をトントンするのはやめましょう。その行為が命を奪ってしまうかもしれません。
読了日:04月11日 著者:井上登太
ジャズ・スタンダード・バイブル【ハンディ版】セッションに役立つ不朽の227曲【CD付き・開きやすいリング綴じ】ジャズ・スタンダード・バイブル【ハンディ版】セッションに役立つ不朽の227曲【CD付き・開きやすいリング綴じ】感想
一時期数回出入りしたライブハウスのジャムセッションで皆さんが使ってた本。227曲入り。カセット何度も巻き戻しながら数日かけて採譜していた頃を思えば、こんな便利なものが出たら、そりゃセッションで使うよなあ。でもなあ、私、ジャズは好きなんだけど、「あーら先生」みたいな出演者とママとの会話とか、アドリブ終わるたびに「いえーい」パチパチパチパチとかの、ライブハウス特有のあの雰囲気はあまり好きじゃないな、、、一人で家で弾いて楽しもうと思います。なにせ227曲あるから、当分この一冊で遊べるな。
読了日:04月10日 著者:納 浩一
古本屋台 (書籍扱いコミック)古本屋台 (書籍扱いコミック)感想
タイトル通りの漫画。久住昌之さんの作品は、題材次第で合う合わないが決まる気がする。ということで、この作品でようやく私は久住さんに共感出来ました(併録されてる『アネコダ』はピンとこなかったけど)。作中に取り上げられている本がとてもいいラインナップで、こういう古本屋さん近所にあったら通うなあ。屋台でなくてもお酒出してくれなくても別にいいぞ。登場人物もそれぞれ魅力的。本と本についての会話を息抜きに、日々の仕事を頑張り、丁寧に生きるのだ。
読了日:04月10日 著者:Q.B.B.,久住 昌之
旅路 (1964年) (銀河選書)旅路 (1964年) (銀河選書)感想
明治末期に函館で産まれ、共産主義に傾倒し投獄され、という経歴の文芸評論家による旅行に関する随想の集成。満州という言葉が現役であり、旅館に泊まると駕籠屋さんを勧められる時代の旅行記である。東海林さだおよろしく文藝春秋の編集者を携えた道行き『吉野紀行』、学生時代の絵の師を訪ねた時のなんとも言いようのない心持ちが温泉町の湯気に霞む『蔵王の麓』が心に残る。薬師寺から唐招提寺にかけての道、二年前に歩きなんとも気持ちのいいところだと感じましたが、この本のなかで、既に著者は道が荒らされることに対し警鐘を鳴らしています。
読了日:04月06日 著者:亀井 勝一郎

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