1月の読書メーター まとめ

1月の読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:3181
ナイス数:562

いのちを呼びさますもの —ひとのこころとからだ—いのちを呼びさますもの —ひとのこころとからだ—感想
著者は東大病院循環器内科助教。幼い頃から病弱だった著者は、医師を志す。しかし医業を研鑽する中で西洋医学の限界に気づいていく。ここまで読んで、あれ、これ危ない最悪のパターンじゃね⁉︎、と思った方。そうですよね。著者が尊敬するという河合隼雄や三木成夫の言説って、まあ面白いけど、医療の現場に身を置く者にとっては、うわあこれキワモノだぜ、なわけですよ。茂木健一郎的ヤバさにも近いな。私は医療従事者だし、民俗学歴史学が大好きな者ですが、こういう人とは距離をおきたい。一言で言おう。浅すぎ。安易に命を語るな馬鹿者が!!
読了日:01月28日 著者:稲葉俊郎
歴史の話歴史の話感想
再読。看板に偽りあり。これは〈日本〉とは何か、マルクス主義が日本の学者に与えた影響について語り合った本であって、歴史の話題はおまけですね。『思想の科学』周辺の方達がお好きなら楽しめるかもしれません。前回読んだ時も思ったけど、鶴見俊輔さん、苦手だなあ。考え方も語り口も。鶴見一族の中では一番功成り名遂げた方とは思うけど、時代と一体化しすぎたんじゃないかな。
読了日:01月22日 著者:網野 善彦,鶴見 俊輔
日本史史料論 (放送大学大学院教材)日本史史料論 (放送大学大学院教材)感想
古代から近現代までの日本史史料の読み解き方を懇切丁寧に教えてくれる、ありがたいラジオ科目。一聴、放送大にありがちなテキスト棒読み科目と思いきや、時折テキストの丸読みから大きく脱線し、深い薀蓄や自身の研究者としての転機や反省、ちょっとしたコツをサラサラと語られるので油断できません。私自身の関心は古代と中世にあり、参考文献に挙げられている本を読んだり、触れられている史料をみるために歴博多賀城へ足を運んだりと、おおいに楽しませて頂きました。特に五味先生の厳しくも優しい姿勢は、分野は違うものの、見習いたいな。
読了日:01月19日 著者:五味 文彦,杉森 哲也
パーソナル・ネットワーク論 (放送大学大学院教材)パーソナル・ネットワーク論 (放送大学大学院教材)感想
講師は森岡先生のほか、立山徳子、石田光規の各氏。ラジオ科目です。講義は、テキストを丸読み。放送大でこの講義スタイルはけして珍しいことではないのですが、この科目は特にひどい。テキストをめくる音や、(えーと、あ、読み間違えちゃった)な感じ含めて、聴いてて心底げんなりします。講義の内容に関心がある方は、テキストを読めばそれで十分。何らかの理由で文字を読むことが難しい方は、ラジオで聴けば十分。22000円払うのなら、他の講義を受講しましょう!講義の内容そのものは、総論賛成各論反対という感想です。
読了日:01月19日 著者:森岡 清志
ポロポロポロポロ感想
初年兵として中国戦線に赴いた体験を元に描いた連作集。「中国戦線では、敵兵を見ない、というのは有名なはなし」。敵兵の代わりに襲ってくるのは、飢えと感染症。行軍途中に倒れたり肛門から血を吹き出させたりしながら呆気なく死んでいく仲間達。たまに発砲すれば、その弾は敵兵ではなく身内のはずの者の命を奪う。そのうちに敗戦を迎え、病人がうじゃうじゃいるのに野戦病院は解散してしまう。後半では、自分の体験を物語ることへの疑念やためらいが吐露される。文体は淡々としてるけど、ぐらぐらと揺れ動く戦記です。
読了日:01月14日 著者:田中 小実昌
たろのえりまき (こぐまのたろの絵本)たろのえりまき (こぐまのたろの絵本)感想
職場で「えりまき」という単語を口に出したら「えりまきって。いつの人ですか」と白い目で見られました。でもね、私の子供時代は「えりまき」だったのです。この絵本、たろと自分を重ねた時にどうしても全面的には共感出来ず、大好きとまではいかなかったのだけど、たろとなーちゃんのしんとした道中や、ある植物の描写は強く印象に残っており、今でもその植物をみるとこの物語を思い出します。子供時代に共感出来なかったポイントは今読んでもひっかかる。子供の話に親は出てこなくていいのにな。
読了日:01月14日 著者:きたむら えり
音・ことば・人間 (同時代ライブラリー)音・ことば・人間 (同時代ライブラリー)感想
1970年代後半『世界』で連載された、文化人類学者と作曲家の公開往復書簡。音やことばが一応のテーマになってはいるものの、まとまりはなく議論が深まらない。日本が経済的に豊かであった頃の連載であり、書簡が書かれた場所はアフリカであったりパリであったりニューヨークであったり。金あるなあ。豊かな資金を背景に海外に飛びながら、辺境である日本から西欧に赴く人類学者・作曲家というねじれに二人とも悩んでいること、日本の音楽やその他の芸術に対する愛憎の念が入り混じっていることが行間から伝わってくる。これが裏テーマか。
読了日:01月07日 著者:武満 徹,川田 順造
この道のりが楽しみ ― 《訪問》言語聴覚士の仕事この道のりが楽しみ ― 《訪問》言語聴覚士の仕事
読了日:01月03日 著者:平澤 哲哉
十二支考〈下〉 (岩波文庫)十二支考〈下〉 (岩波文庫)感想
再読。下巻は羊・猴・鶏・犬・猪・鼠。今年は戌の歳なので、犬の章を要約すると、元々は直立歩行で人を多く殺したというニューブリテン島の伝説、犬や人の寿命に関するルーマニアの伝説、犬が人を救う話と続き、平等の行き過ぎた社会は平凡な者ばかりとなることを説いた後、『醒睡笑』などの犬の笑い話、各国・各時代の犬の擬声語、花咲か爺の話の大元を探り、犬を伴って鬼退治をしたのは桃太郎だけでなくタヒチの塩の神もだよ、という指摘で終わります。「さて話はこれから段々いよいよ面白くなるんだからして、聞きねえ」。
読了日:01月02日 著者:南方 熊楠
南方熊楠――複眼の学問構想南方熊楠――複眼の学問構想感想
国立科学博物館で開催中の熊楠展では、「GoogleWikipediaに代表されるような」「情報の提供者」(リーフレットからの引用)として業績が捉えられている。違和感を感じた理由が、この本を読んではっきりした。熊楠の関心は常に諸々の交差にある。旅行者とその地の、動植物と人間の、アジアの学問と西洋科学の。曼荼羅も粘菌も少年愛も、書簡や"Nature""N&Q"誌上での論争も。交差の中心には常に彼自身の視座がある。個人として世界を捉える。それがWikiGoogleの検索結果と熊楠の遺産の決定的な違いだろう。
読了日:01月02日 著者:松居 竜五
十二支考〈上〉 (岩波文庫)十二支考〈上〉 (岩波文庫)感想
再読。上巻は虎・兎・竜・蛇・馬について。元は総合雑誌『太陽』での連載。不特定多数の読者が読むことを意識して書かれた文章はエンターテインメント性に富み、特に兎の章は熊楠先生ノリノリのイケイケです。また、クロポトキン『相互扶助論』から、脚の傷ついた蟹を仲間の蟹が助け歩いたエピソードを引き、自ら那智山中で同様のケースを観察したが実は助けてるのではなく「 啖いながら巣へ運」んでいるのだ、「人の心を以て畜生の心を測るの易からぬ」と諌めるなど、一般読者に学問の心得まで懇切丁寧に教えてくれます。
読了日:01月02日 著者:南方 熊楠

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