10月の読書メーター まとめ

10月の読書メーター
読んだ本の数:14
読んだページ数:2940
ナイス数:457

民俗学という不幸民俗学という不幸感想
1992年、大月は、自身民俗学者であるにも関わらず民俗学に対し「おまえはすでに死んでいる」と通告した。現在、大月の名前は書店でほぼ見かけなくなってしまった。しかしこの本のことはしばしば今でも取り上げられる。例えば『歴博』2015July vol.191の川村清志による特集解説の中で「おまえは、もう死んでいる、そう看破する漫画評論家もいた」と触れられてるが、この触れ方、実に底意地悪い。つまり四半世紀すぎてるのにそういうねじくれた取り扱いをしたくなるほど、未だに効いているのだ。さて大月は、民俗学はどこへいく。
読了日:10月31日 著者:大月 隆寛
冥府・深淵 (1956年) (ミリオン・ブックス)冥府・深淵 (1956年) (ミリオン・ブックス)感想
大日本雄辯會講談社発行。装幀は駒井哲郎。『冥府』は「僕は既に死んだ人間だ」という一文から始まる。敗戦後の街を歩き喫茶店や公園に寄りつつただ歩き続ける僕。突然に開かれる法廷。ここはいったいどこか。僕はいったい誰か。『深淵』は童貞聖マリアに祈りを捧げる結核療養所の事務員の女性と、飢えや渇きを生まれた時から感じているという療養所の賄夫の語りが交互に繰り返されるうち、じわじわと物語がすすんでいく。どちらの話も、生と性と愛、そして孤独が描かれている。心を剥き出しで寒風に晒し続けるような読書でした。でも、いい本。
読了日:10月29日 著者:福永 武彦
現代思想 2017年11月号 特集=エスノグラフィ ―質的調査の現在―現代思想 2017年11月号 特集=エスノグラフィ ―質的調査の現在―感想
冒頭の岸政彦と國分功一郎との対談では、これからの質的研究の向かうべき道を探っています。結論はとてもシンプルですが納得。川野英二『フランス社会学の〈フィールド〉との出会い』で取り上げられているロベール・エルツという人。社会学の歴史では忘れられ人類学・宗教学で今でも参照される方だそうです。〈聖ベス-アルプスにおけるカルトの研究〉、読みたいぞ。白波瀬達也『多死社会化する寄せ場エスノグラフィー』は、あいりん地区や山谷の単身者の死と弔いから「家族がいなくても安心して死ねる町」の可能性を探っていて、いたく共感。
読了日:10月29日 著者:岸政彦,國分功一郎,川野英二,朴沙羅,上間陽子,熊本博之
サルコペニアがいろん (ライフサイエンス選書)サルコペニアがいろん (ライフサイエンス選書)感想
基本的な事項が丁寧にまとめられていて、とても読みやすい。医療職・介護職向けの専門書ではあるものの、ブルーバックスあたりで一般書として出しても通用しそうな内容です。狙いは介護予防なのだから、むしろ一般書で出した方がよかったのでは。表紙も洒落てて(表紙でパロディを試みて失敗してない医学書はじめて見た)、なんかもったいないなあ。サルコペニアの基本はもうわかってるよという方も、執筆陣は一流だしわかりやすいので知識の整理に役立つかもしれません。
読了日:10月23日 著者:
人生居候日記人生居候日記感想
数年に一度読み返すエッセイ集。読み返すたびに印象に残る文章が変わる。初読時に強烈だったのは、タライを酒で満たした中に男性が2人あぐらをかき、互いのタライの酒をひたすら柄杓ですくい飲み比べという『酒の上で死ぬ』。おしゃれなエッセイと程遠い、尿臭と便臭漂う文章にたじろぎページを閉じたが、この方の発する猥雑さには惹きつけられた。それから二十数年。団体旅行の群れに脅かされながら一人裏町を歩く『あまのじゃく旅行術』、居酒屋で飯食うなという『酒場ぎらい』に今回は惹きつけられました。人生居候っていう佇まいがいいですね。
読了日:10月21日 著者:種村 季弘
孤立の社会学: 無縁社会の処方箋孤立の社会学: 無縁社会の処方箋感想
パーソナル・ネットワーク論の本。第1部ではNHKで2010年に放送された『無縁社会』を題材に、血縁・会社縁から解放された恩恵を受けつつ保障を家族や会社に求める現代の傾向を「都合のいい心性」と看破。第2部では、半数以上の人々が情緒的サポートを家族に求めている、しかし孤独を感じている人の92.8%は家族と同居しているという矛盾をデータから導き、高齢・男性・町村部在住者が人間関係弱者となるリスク高なことを立証。「自由は欲しいけど、放っておかれるのは寂しい」虫良すぎだな確かに。いきなり本音全開の後書きが良いです。
読了日:10月21日 著者:石田 光規
古代農民忍羽を訪ねて―奈良時代東国人の暮らしと社会 (中公新書)古代農民忍羽を訪ねて―奈良時代東国人の暮らしと社会 (中公新書)感想
正倉院文書にのこされた下総国葛飾郡の戸籍。そこに記された忍羽という人物と彼の一族について考えを巡らしながら現代の市川を散策していた著者は、気がつくと古代にタイムスリップ!そして忍羽本人と対面!「古代社会の中で生活してみる」著者の方法は、確かに民の生活に想いを寄せる時に有効かもしれません。自説を忍羽の発言(もちろんフィクション)で補強する展開が多すぎる気もするけど。柴又、小岩、市川の古代に関心のある人には貴重な一冊。
読了日:10月21日 著者:関 和彦
チームで実践 高齢者の栄養ケア・マネジメントチームで実践 高齢者の栄養ケア・マネジメント
読了日:10月19日 著者:江頭 文江,阿部 充宏
多職種で取り組む食支援: 急性期から看取りまで 僕なら私なら「こう食べていただきます!」多職種で取り組む食支援: 急性期から看取りまで 僕なら私なら「こう食べていただきます!」
読了日:10月17日 著者:
リハビリテーション栄養Q&Aリハビリテーション栄養Q&A
読了日:10月16日 著者:若林 秀隆
認知症のリハビリテーション栄養認知症のリハビリテーション栄養
読了日:10月10日 著者:若林秀隆
フィールドワークへの挑戦―“実践”人類学入門フィールドワークへの挑戦―“実践”人類学入門感想
副題通りの、実践的な人類学入門。であると同時に、大学教育入門に結果としてなってます。次々と引用される学生の実習レポート。それに対する著者の容赦ない批判、激賞、失望のことば。激昂しやすい先生なのかなあ。学生達のレポート内容は多岐にわたっていてそれぞれに面白いので、この方の評価は横に置いておいて読んだ方がいいような気がします。コンビニバイトをしていた学生によるホームレス研究と、競馬ファンの学生による引退した競走馬の処理についてのレポート。著者の評価は低いようですが、全レポートの中で突出していると思います。
読了日:10月08日 著者:菅原 和孝
臨床研究と論文作成のコツ 読む・研究する・書く臨床研究と論文作成のコツ 読む・研究する・書く感想
英文の医学論文をいかに読むか、書くか。筆頭著者が産婦人科の教授なので、例示されている論文はほぼ全て産婦人科の論文です。読み手各々の専門分野の論文に置き換えて読むとよさそうです。私は初読ちんぷんかんぷんでしたが、途中から例示されてる論文を神経内科の論文に置き換えたところ急にするすると頭に入って来ました。装飾ない文章で、いかに重要な研究内容であることを読み手に伝えるか。医療者はよい治療をするのと併行してよい研究をする義務がある。ああもっともだ全くだ。こんなダラダラした文章は、論文書くときは禁じ手なのよ。
読了日:10月08日 著者:松原茂樹,大口昭英,名郷直樹,山田 浩
弥勒 (河出文庫)弥勒 (河出文庫)感想
大森・神戸・横寺町。両親や友人知人は次々とタルホ先生の傍を通り過ぎつつ儚い一生を終えていく。当の先生は作家仲間にたかり、出版社に前借りし、得たお金をコップ酒と電気ブランへと費やしていく。酒臭い己の身をうら若い乙女の身体から遠ざけつつ一緒に天体望遠鏡を覗きアプローチをかける、謙虚だか図々しいんだかわからない振る舞い。挙げ句の果てに自分のことを"SAINT"ってあなた、、、でも、憎みきれないなあ。なんででしょうね。ダメを通り越してるのと、生み出すイメージの美しさに負けちゃいますね。ああ「六月の夜の都会の空」!
読了日:10月01日 著者:稲垣 足穂

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