9月の読書メーターまとめ

2016年9月の読書メーター
読んだ本の数:19冊
読んだページ数:5083ページ
ナイス数:344ナイス

再会と別離再会と別離感想
『新潮』に連載されていたという往復書簡。語られているのは書名通りの内容で、その対象は恩師だったり配偶者だったりします。・・正直言って読み辛い本です。四方田さんの『先生とわたし』もそうでしたが、故人や別れた配偶者との出来事を一方の立場からのみつらつら書いている文章は、読んでてあまりいい気持ちがしません。また、四方田さんの文章は装飾過多で、石井さんの文章は自己憐憫の要素が強く、恩師との関係を書いた箇所にすら性愛の匂いが充満していて、1950年代生まれの男女の著作にしては子どもっぽいと感じました。
読了日:9月29日 著者:四方田犬彦,石井睦美
天使と怪物―種村季弘対談集天使と怪物―種村季弘対談集感想
対談集。荒俣宏との対談ではフェルディナント二世とルドルフ二世のコレクションの質の違いを、池内紀との対談ではウィーン世紀末の人々について語りに語っていて、実に楽しい。高橋康也とのキャロル談義も挿絵と写真を軸に展開されていて面白い。巻末の山口昌男との対談は映画を主題にして非常に盛り上がっているけれど、二人の性質の違いが如実に出ている。それゆえに仲良しだったのかしら。
読了日:9月28日 著者:種村季弘
唐詩選国字解 1 (東洋文庫 405)唐詩選国字解 1 (東洋文庫 405)感想
品川の東海寺に行った時、服部南郭の簡素で格好いい墓を見て、著作を読みたくなり借りてきた。『唐詩選』の注釈書、というか講義録。弟子のノートをまとめたものなので、どこまで講義に忠実かはわからないらしい。解説によると、この本の注釈は現代の水準から見ると間違いだらけだそうですが、江戸時代の儒学者がどのように講義していたかを想像するだけでも楽しい。なにせ語り口が「〜じゃ。」である。それに、現代の学者の解釈も、数百年経ったらどうせまた、、ねえ(^^;;
読了日:9月26日 著者:服部南郭,日野龍夫
銀座旅日記 (ちくま文庫)銀座旅日記 (ちくま文庫)感想
晩年の日記。著者自身の病気療養の話が多く、周囲の人々も次々と亡くなっていく。その一方で、『ニューヨーカー』をかかさず購読し、翻訳の勉強会を定期的に行うなど、アメリカへの視点を晩年まで保ち続けていたこともわかる。そして長津田から神保町、平井に至るまで実によく歩かれてます。お鮨屋さんにもよく行かれていたようだけれど、立ち食い蕎麦やドトールにも頻繁に行かれていたようです。気取りがないなあ。
読了日:9月25日 著者:常盤新平
トランヴェール2016年9月号トランヴェール2016年9月号感想
上越新幹線に備え付けられていた広報誌。沢木耕太郎の連載なども載ってるのですが、読みどころは新潟の妖怪特集。荒俣宏さんらが、河童が人間に渡したとされる薬や雷獣のミイラなど実物と対面しながら、ああでもないこうでもないと謎解きをしていきます。
読了日:9月23日 著者:
本の中の江戸美術展本の中の江戸美術展感想
東洋文庫ミュージアムで行われている展覧会の図録。見所が多い展示内容でした。菱川師宣が明暦の大火後に描いた江戸名所案内『江戸雀』、喜多川歌麿が品川潮干狩りの光景を描いた『潮干のつと』、隅田川花火大会を描いた歌川国丸『江戸両国納涼之図』などがお気に入りです。
読了日:9月22日 著者:斯波義信
ペンギンが喧嘩した日ペンギンが喧嘩した日感想
昭和62-63年に書かれた、東京にまつわる随筆集。澁澤龍彦の友人であった著者は、澁澤が亡くなった直後に彼の少年時代の思い出を検証したそうで、その下りが一番興味深かった。幼年の澁澤は、かつての駒込ー田端間を走る出征兵士を乗せた汽車に慰問袋を差し入れたという。走る汽車の窓にいったいどの場所でどのようにすればそのようなことが出来るのか。現地を聞き歩きしながら、謎が徐々に解けていきます。
読了日:9月22日 著者:出口裕弘
蘇我氏 ― 古代豪族の興亡 (中公新書)蘇我氏 ― 古代豪族の興亡 (中公新書)感想
蘇我氏は悪者として認識されがちだが、『日本書紀』は編者によりバイアスがかかっており、実際には非常に聡明で開明的な一族であった。また決して滅亡したわけではなく、落ちぶれつつも知的な面を活かし下級職に就きながらしぶとく活動し続けた者が多いということが書かれてます。古い時代の出来事ではありますが、政略結婚や、流言を流して政敵を追い込んだり、クーデター起こしたり未遂に終わったり。我々、千年以上経過しても進歩してないですね、、
読了日:9月18日 著者:倉本一宏
兄妹パズル兄妹パズル感想
爽やかなジュブナイル。両親と兄二人を持つ妹のモノローグで話はすすむ。一番上の兄は頭が良くて二番目の兄はスポーツマンのお調子者で、という黄金の設定。ある日二番目の兄が家出する。そしてこれはおそらく、、という想像通りに展開していくなあ、と読み進めていったら、えっ!と驚くどんでん返しあり。気持ちよく、してやられました。
読了日:9月15日 著者:石井睦美
日本語は親しさを伝えられるか (そうだったんだ!日本語)日本語は親しさを伝えられるか (そうだったんだ!日本語)
読了日:9月14日 著者:滝浦真人
手のひらの音符 (新潮文庫)手のひらの音符 (新潮文庫)
読了日:9月14日 著者:藤岡陽子
古寺巡礼 (岩波文庫)古寺巡礼 (岩波文庫)感想
小学校の修学旅行以来約三十年ぶりに奈良に行くことになり(仕事でですが)、散歩のガイド本がほしいなと思い手に取った。大正8年、著者30才の時の本だが、昭和21年全集収録の際文章を削り改訂版としたとのこと。若書きが恥ずかしかったそうで、解説で谷川徹三がわざわざ初版との比較をしているが、誇張表現が初版は確かに多い。でも、ガンダーラ美術ときいてタケカワユキヒデしか思い浮かばない身からすれば、和辻の文章は利発な青年の興奮気味の述懐であり、爽やかそのものだ。いつか初版でも読みたい。
読了日:9月12日 著者:和辻哲郎
こうしよう!パーキンソン症候群の摂食嚥下障害こうしよう!パーキンソン症候群の摂食嚥下障害
読了日:9月12日 著者:山本敏之,村田美穂
文化とコミュニケーション―構造人類学入門 (文化人類学叢書)文化とコミュニケーション―構造人類学入門 (文化人類学叢書)感想
英国で書かれた学部学生向けの社会人類学入門。異文化解釈の前に自分たちの文化や社会をフィールドワークしてみることを勧めていて、聖書の人類学的解釈が後半で展開される。ここら辺は、我々は我々の社会におけるテキストで展開していくことが求められるだろうと思う。異文化の脈絡について多くを知った後でないとメッセージの解釈には取りかかれないという結論は当たり前のようでいて、我々がついつい怠けてしまうことのような気がする。
読了日:9月11日 著者:エドマンド・リーチ
詐欺師の勉強あるいは遊戯精神の綺想 種村季弘単行本未収録論集詐欺師の勉強あるいは遊戯精神の綺想 種村季弘単行本未収録論集感想
ホームページ『種村季弘のウェブ・ラビリントス』運営者であり、教え子の一人でもあった齋藤靖朗さん編集による分厚い論集。生前単行本に収録を見送られた文章の集成であり、なんとなく生煮えの感がある文章が多い。一方で、種村が関心を持ったオブジェや影響を受けた作家・思想家の展覧会的な書物にもなっている。
読了日:9月11日 著者:種村季弘
豆大福と珈琲豆大福と珈琲感想
喫茶店、コーヒー、いかにもありそうで、かつ非現実的な男女関係。うーん、いつもの片岡義男だ、と思っていたら、最後の短編で意表を突かれる。短編集に時々ある仕掛けだが、片岡義男の短編集でこう来るとは思わなかった。今回の短編集は、どういうわけか40代の生き方に拘っている感あり。
読了日:9月9日 著者:片岡義男
エリアーデ 自身を語る 迷宮の試煉エリアーデ 自身を語る 迷宮の試煉感想
再読。対話集。宗教の歴史を果てしなく遡り続けて、行き着く先にあるのはなにか。著者の著作を解題する途中、ちらとその答えが暗示される。宗教史というのは、迷宮を辿っていくようなものなのだろうか。
読了日:9月5日 著者:ミルチャ・エリアーデ,クロード=アンリ・ロケ
東京映画地図 (キネマ旬報ムック)東京映画地図 (キネマ旬報ムック)感想
地図と共に語られる東京映画談義。とりあえず自分がこれまで住んだ場所をピックアップして読んだ。また散歩の際に参照したい本が増えました。ただ、大判の本なので、このまま携行するのはちょっと難しそう。縮小コピーして持ち歩こうかなあ。
読了日:9月4日 著者:宮崎祐治
日影丈吉 幻影の城館 (河出文庫)日影丈吉 幻影の城館 (河出文庫)感想
前に河出文庫から出た短編集よりも、淫猥な話中心に編まれている。ちょっとエロチック過ぎて、うーん、前の短編集の方が好きかな、、最後の『冥府の犬』は、散歩エッセイかと思わせて実は、というお話でぞわっとする。
読了日:9月3日 著者:日影丈吉