読書と散歩

そのまんま。

7月の読書メーターまとめ

2016年7月の読書メーター
読んだ本の数:19冊
読んだページ数:4991ページ
ナイス数:279ナイス

下流中年 一億総貧困化の行方 (SB新書)下流中年 一億総貧困化の行方 (SB新書)感想
こういうタイトルなので解ってはいたけれど、見事に暗澹たる気持ちにさせられる本。赤木智弘さん、『希望は、戦争。』はピンとこなかったけど、この本の中では、かつてのイエが会社になったという指摘をしていて、その部分は頷けた。でも、そういう指摘や提言が個々人の貧困を解消するかというと、大分迂遠だなあと思う。巻末にインタビューされている個々の方が、どんなに貧しくても先行き不安でも、心身破壊されるような職場からは去る選択をしているのはとても健全だと感じた。
読了日:7月31日 著者:雨宮処凛,萱野稔人,赤木智弘,阿部彩,池上正樹,加藤順子
考える葦―美しい夢と思索のノート (1951年)考える葦―美しい夢と思索のノート (1951年)感想
古本市にて百円で購入。1951年雲井書店刊。クリーム色の表紙に色鉛筆画の幾何学模様が施された装丁は当時ハイカラだったんだろうなと思う。内容はですます調で書かれた哲学についてのエッセイ集。タイトル通りパスカルの話から始まるが、引用される文献はアミエルの『日記』が多い。自分を大切にして生きていなければ、他人や社会のことも大切には出来ない、というのが著者の一番言いたかったことなのだと思う。出版された年を考えると、これは戦中の日本を振り返っての内省でもあるのでしょう。
読了日:7月30日 著者:串田孫一
摘録 断腸亭日乗〈下〉 (岩波文庫)摘録 断腸亭日乗〈下〉 (岩波文庫)感想
戦後年老いていく中で市川市に移り、隣家のラジオの騒音に悩まされたり浅草通いをしたりしながら、やがて死に至るまでの淡々とした記述。読んでて心地よい。
読了日:7月26日 著者:永井荷風
路上のジャズ (中公文庫 な)路上のジャズ (中公文庫 な)感想
中上健次が書くジャズは、クスリや酒とひとまとめのフーテンが親しむものとしてのジャズ、であり、良くも悪くも1960年代のテキストという感じだ。音楽への接し方としては非常に違和感を感じるものの、当時の空気感を感じることが出来る本。
読了日:7月24日 著者:中上健次
生命の灯ふたたび2生命の灯ふたたび2感想
松戸で毎年開かれている、失語症など重度の障害を負った方々の作品展の図録第二弾。本書に収められてるのは今年会場で展示された作品群。表紙の魚の絵はボールペンによる点描。右半身麻痺の方が、左手で描かれています。
読了日:7月23日 著者:横張琴子
ニッポン大音頭時代:「東京音頭」から始まる流行音楽のかたちニッポン大音頭時代:「東京音頭」から始まる流行音楽のかたち感想
音頭の通史。炭坑節の起源や東京音頭の事始め、三波春夫の音頭観、フランキー堺から大滝詠一に至る冗談音楽の系譜、アラレちゃん音頭などのアニメ発音頭や、アイドルの音頭などの歴史を丁寧に辿り、最後の大友良英作音頭まで駆け抜ける。当たり前のことながら、音頭はダンスミュージックなんですよね。
読了日:7月23日 著者:大石始
戸越銀座でつかまえて戸越銀座でつかまえて感想
普通のエッセイ集なのだが、タイトル通り著者が戸越銀座に現在住んでいるところがポイント。元住民としては、戸越銀座と武蔵小山の近くて遠い関係などに頷くことしきり。荏原中延駅前にマクドナルドがあったことをどれくらいの人が覚えているだろうか。そんな、あの街に住んだことがある人なら分かる細かい事項が光る本です。ただ他の方も仰っているように、猫についての記載はちょっと読むのが辛い。
読了日:7月20日 著者:星野博美
治療者と家族のための 境界性パーソナリティ障害治療ガイド治療者と家族のための 境界性パーソナリティ障害治療ガイド
読了日:7月18日 著者:黒田章史
ジャックはここで飲んでいるジャックはここで飲んでいる感想
書き下ろしを含む短編8つ。実によく珈琲が、そして喫茶店が出てくる。手のかからない豪快な、しかしスタイリッシュな料理もあちこちに。
読了日:7月17日 著者:片岡義男
めぐらし屋 (新潮文庫)めぐらし屋 (新潮文庫)感想
父親の残した大学ノートに残された言葉と、時々かかってくる未知の人々からの電話。一体父は何をしていたのか?と考えている女性が主人公。「めぐらし」には複数の意味が重なっていることが読み進めるうちにわかってくる。
読了日:7月17日 著者:堀江敏幸
摘録 断腸亭日乗〈上〉 (岩波文庫)摘録 断腸亭日乗〈上〉 (岩波文庫)感想
大正六年から昭和十一年までの日記。当時の東京の風俗が活写されている。所々に挟まれたスケッチや地図も面白い。
読了日:7月17日 著者:永井荷風
神経心理学の挑戦 (神経心理学コレクション)神経心理学の挑戦 (神経心理学コレクション)感想
再読。碩学二人の対談。障害を負ったご本人とあらゆるスタッフが、ああでもないこうでもないと寄り集まって試行錯誤を繰り返す行為そのものがリハビリテーションですと後半で語られる。まさに。最後の章ではクセナキスなどの現代音楽やミケランジェロ漱石や鴎外についても語られます。
読了日:7月16日 著者:山鳥重,河村満
おかしな男 渥美清 (ちくま文庫)おかしな男 渥美清 (ちくま文庫)感想
渥美清は、私人としての自分と役者としての自分を徹底して使い分けていた、ということが年代を追って語られる。それだけなら、別に芸能人じゃなくてもそういう人は多かろうと思うところだが、私人としての渥美清がかなり多面的な人であること、若い頃から著者と友人でもなく同業者でもないという微妙な距離感での付き合いがあったことが、この評伝を凄みのあるものにしている。
読了日:7月8日 著者:小林信彦
SidewalksSidewalks感想
メキシコ生まれ、南アフリカ育ちの作家によるメキシコシティーについてのエッセイ。メキシコシティーヴェニスの類似、墓地に並ぶ詩人らの墓碑銘、地図、犬と自転車などについて語られていく。本を読むように都市を読む、という言葉が引用されている。思春期になって生まれ故郷のメキシコシティーに戻ったものの言葉もままならず困惑したという著者は、大人になっていく過程で、自分の生まれた都市を客観視するすべを身につけたのかもしれないと感じる。
読了日:7月5日 著者:ValeriaLuiselli
マヌエル・アルバレス・ブラボ  メキシコ、静かなる光と時マヌエル・アルバレス・ブラボ メキシコ、静かなる光と時感想
寡黙なモノクロ写真で切り取られたメキシコの風景と人々。国の歴史と共に激しい暴力的な場面も映し出されるが、そのような写真さえ静けさに満ちている。
読了日:7月4日 著者:アウレリア・アルバレス・ウルバフテル,酒井忠康,野谷文昭,塚田美紀,山田諭,伊藤鮎,杉山悦子
食味歳時記 (中公文庫)食味歳時記 (中公文庫)感想
ほんとに歳時記で、季節ごとの旬のものについて書かれた本。昭和40年代に連載されてますが、胡瓜が年がら年中出るようになったが時期外れで食う奴には破格の値段をふっかけてやれば宜しいなどと書かれており、当時から旬という感覚が少しずつ失われつつあったことが判ります。
読了日:7月3日 著者:獅子文六
ユリイカ 2016年7月号 特集=ニッポンの妖怪文化ユリイカ 2016年7月号 特集=ニッポンの妖怪文化感想
もうすぐ開かれる《大妖怪展》に合わせ編まれた妖怪特集。小松和彦京極夏彦の対談や米澤穂信らの短編小説、畑中章宏らの論考を収める。故人である水木しげるが妖怪をキャラクター化したことの功罪を論じる書き手が複数人いて、どの方の論調もかなり厳しい。もし水木が存命だったら、これらの文章は書かれただろうか。読んだ後、なんかモヤモヤが残った。
読了日:7月2日 著者:小松和彦,京極夏彦,藤田和日郎,峰守ひろかず
特別展 生誕130周年 萩原朔太郎 マボロシヲミルヒト特別展 生誕130周年 萩原朔太郎 マボロシヲミルヒト感想
鎌倉文学館で開かれた萩原朔太郎展のブックレット。実らなかった初恋相手のために手作りした、今風に言えばフォトブックが可愛い。
読了日:7月2日 著者:鎌倉文学館
素湯のような話: お菓子に散歩に骨董屋 (ちくま文庫)素湯のような話: お菓子に散歩に骨董屋 (ちくま文庫)感想
昭和初期の関東近郊を淡々と歩き回る。時には信州や京都に足をのばす。お菓子の包み紙や簡素な壺を大切に愛おしむ。短い随筆に書かれたそのような人生の楽しみ方の手本は徒然草などの古典にあることが、後半にまとめられた文学論によって感じられる。
読了日:7月1日 著者:岩本素白