読書と散歩

そのまんま。

5月の読書メーターまとめ

2016年5月の読書メーター
読んだ本の数:16冊
読んだページ数:3796ページ
ナイス数:301ナイス

行商列車:〈カンカン部隊〉を追いかけて行商列車:〈カンカン部隊〉を追いかけて感想
冒頭の、カメラを構えようとした著者に間髪入れず飛ぶ「写真なんか、撮るな!」の言葉。部外者に対するこのような苛立ちの理由は読んでいるうち分かってきます。そして、部外者に対する苛立ちは別に行商人に限らず、この社会の限りなく細分化された各業界がそれぞれ抱えているだろうとも思います。最後の方、食卓が団欒の場なのはさほど古いことではなく、昭和30年代まではしつけの時間であった、というのは深くうなづける指摘でした。子どもの頃、祖父母との食事はとても緊張する沈黙の時間だったことを思い出しました。
読了日:5月28日 著者:山本志乃
驚きの介護民俗学 (シリーズ ケアをひらく)驚きの介護民俗学 (シリーズ ケアをひらく)感想
大学の教職員から介護現場に転職し、最初は民俗学聞き書き の宝庫と胸を高鳴らせる著者。先輩の介護職員から「話を聞くことが介護なの?」と批判され義憤にかられるが、デイから特養へ配置転換後、利用者の話も時には聴きたいと多くの職員が思ってること、でも現実には忙しすぎそんな時間などないことに著者は気づいていく。気づくの遅すぎ!と思うし、この本に批判的な方の気持ちもわかる。でも、他業種から来た人の成長物語として受け取ってもいいんじゃないかな。
読了日:5月28日 著者:六車由実
つまをめとらばつまをめとらば感想
短編六つ。男と女のドロドロがどの短編でも描かれ、特に女の情念を執拗に描いている。そういうのを小説に求めてない自分は、ある事情がなければ通読しなかっただろう。遠くの地に飛ばされたサラリーマンの江戸時代版みたいな『ひと夏』が、この中では一番好みの話。
読了日:5月26日 著者:青山文平
BASS MAGAZINE (ベース マガジン) 2016年 6月号 [雑誌]BASS MAGAZINE (ベース マガジン) 2016年 6月号 [雑誌]感想
ベーマガ通巻300号記念だそうです。最後に買ったのは江川ほーじんやジャコがやたら特集組まれてた1989年頃。実に二十数年ぶりに購入。細野晴臣インタビューと、ロン・カーターチャック・レイニーの再録インタビューをさらっと読んで満足。部屋の隅で眠ってるベースをケースから取り出すのは何年先のことやら。
読了日:5月24日 著者:
熊楠の星の時間 (講談社選書メチエ)熊楠の星の時間 (講談社選書メチエ)感想
『森のバロック』の、二十年以上を経ての続編。前著同様、熊楠の思想をどう使うかの中沢流試みという感じ。今回は短い章の連続で、こういう風にもああいう風にも使えるよ、というサンプル集のようにも読める。
読了日:5月23日 著者:中沢新一
江戸東京《奇想》徘徊記 (朝日文庫 (た44-1))江戸東京《奇想》徘徊記 (朝日文庫 (た44-1))感想
最近の、散歩の際のお供本。巻末のガイドコースを目安に歩くと、史跡を存分に味わえる。種村先生は必ず最後に一杯おやりになられるのですが、酒に弱い自分は代わりに町々の喫茶店に寄って帰ります。
読了日:5月22日 著者:種村季弘
音とことばのふしぎな世界――メイド声から英語の達人まで (岩波科学ライブラリー)音とことばのふしぎな世界――メイド声から英語の達人まで (岩波科学ライブラリー)感想
とてもわかりやすい音声学の入門書。対象とする読者は高校生からということで、ラッパーや、秋葉原メイドさんなど、十代に身近な存在の人達の音声も取り上げるという気配り様。言語聴覚療法についても触れてくれているのが嬉しいです。
読了日:5月21日 著者:川原繁人
言葉と無意識 (講談社現代新書)言葉と無意識 (講談社現代新書)感想
ソシュール言語学を糸口に、無意識へと分け入っていく論考。途中、自分が今何についての本を読んでいるのかわからなくなるような箇所あり。読書とは、何かを目的とした行為ではなく、文化という美しい虚構を楽しむ行為、というのはとても共感出来る。
読了日:5月21日 著者:丸山圭三郎
愛の試み (新潮文庫)愛の試み (新潮文庫)感想
再読。スタンダールの結晶作用をもじって、破滅していく過程を[融晶作用]と福永は名付ける。短い挿話によって絵解きがされており、どれも寂しい終わり方ながら力強い。
読了日:5月17日 著者:福永武彦
昭和芸人 七人の最期 (文春文庫)昭和芸人 七人の最期 (文春文庫)感想
日本の喜劇舞台が戦前からどれだけ欧米の喜劇の影響を受けていたか。戦後、海外の喜劇映画が上映され人気を博す背後で起きた、国内の喜劇舞台の衰退。その中で芸人達がどう転換しようとしたか。7人の芸人を取り上げ語られている。著者は、萩本欽一を境に欧米の影響は薄れていったと考えているようだが、この辺は意見が割れそうだ。
読了日:5月11日 著者:笹山敬輔
括弧の意味論括弧の意味論感想
週刊新潮の見出しや80年代ニューアカの文章などの括弧を多用する文章の増加は、一見、現代日本の瑣末事に思える。しかし括弧に書き手が込めた意図は、時代・場所に関わらずコミュニケーションの本質として観察される。それが目に見える形で現れたのが、「括弧」なのではないか、という内容。淀川長治の映画解説における「あの」が、膨大な映画知識の世界に一緒に行こうよという誘いかけだという分析は非常に納得。
読了日:5月10日 著者:木村大治
しあわせの香り: 純喫茶トルンカ (徳間文庫)しあわせの香り: 純喫茶トルンカ (徳間文庫)感想
戻ってくる人と旅立つ人。帰ってこれる場所があるのは心強いことだと思う。八木沢作品にお馴染みの神保町が、今回もチラッと出てきます。
読了日:5月8日 著者:八木沢里志
溺レる (文春文庫)溺レる (文春文庫)感想
短編集。どの話でも男性はちょっと狡く暴力的なところがあり、女性はだらしなく投げやりに生きている。男女ともに人生のぬかるみに嵌りきったまま出ようとしていない。種村季弘さんの解説が、本編同様ぬたぬたとしていて見事です。
読了日:5月7日 著者:川上弘美
南方マンダラ (河出文庫)南方マンダラ (河出文庫)感想
土宜法竜宛書簡から、南方曼荼羅について述べられた部分をセレクトした〈熊楠コレクション〉第1巻。文庫だからしょうがないのだろうけど、往復書簡の熊楠分しか所収されてないので、法竜側の反応が全くわからない。八坂書房から出ている書簡集は法竜側の書簡も収められているようなので、いずれ読んでみたい。専門外の者である熊楠が得々と仏教他の宗教についての長文書簡を罵詈雑言混じりに書いてよこすのを受けとめ続けた法竜にむしろ惹かれた。聴き手として、非常に優れた人だったのではないか。
読了日:5月7日 著者:南方熊楠
中井久夫コレクション3 「思春期を考える」ことについて (ちくま学芸文庫)中井久夫コレクション3 「思春期を考える」ことについて (ちくま学芸文庫)
読了日:5月4日 著者:中井久夫
黄金時代 (河出文庫)黄金時代 (河出文庫)感想
文庫版あとがきで澁澤自身が書いているように、時代の動向から超然としているように書かれていても、今読み返すと猛烈にアジテーションの意向を感じるエッセイ集。60年代末の空気感がよく伝わってきます。
読了日:5月4日 著者:澁沢龍彦

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